近代~現代艦艇要目集blog判 Twitterでは長すぎる文章を投稿する予定です。

2021年12月20日

1935年の英独合意 (英独海軍協定)

Filed under: 条約,英独海軍協定 — kasado @ 1:11 PM

元文は
“NavWeaps” → “History and Technology” → “Naval Limitation Treaties” → “Anglo/German Agreement of 1935”
http://www.navweaps.com/index_tech/tech-089_Anglo_German_Agreement_1935.php
です。

DeepLによる翻訳を手直ししたもので、予告なく訂正を行うかも知れませんので参考程度で。

英国外務大臣から駐英ドイツ大使への書簡

1935年6月18日

ヨアヒム・フォン・リッベントロップ閣下

閣下

この数日間、ドイツ政府と英国政府の代表者は、海軍軍備の制限をテーマとする一般会議の開催に向けた準備を主目的とした対話を続けてきました。

このたび、英国連邦加盟国の海軍力の総和に対するドイツ海軍の将来の戦力を35:100の割合にするという、これらの会談で話し合われたドイツ政府の提案を英国政府が正式に受け入れたことを、閣下にお知らせするのは大きな喜びです。
英国政府は、この提案を、将来の海軍の制限という大義に最も重要な貢献をするものと考えています。
さらに、英国政府は、現在ドイツ政府と締結したこの合意は、両政府間の今日からの恒久的かつ明確な合意であり、世界のすべての海軍国の間で海軍制限の主題に関する一般協定の締結を促進するものと考えているのである。

1 英国政府も、この原則の適用方法に関して、最近ロンドンで行われた議論の過程でドイツ代表から提供された説明に同意しています。
これらの説明を要約すると、次のようになります。

a. ドイツ艦隊の総トン数は、条約で定義されたイギリス連邦加盟国の海軍力の総トン数の 35%、または、将来このトン数に関する条約による制限がない場合には、イギリス連邦加盟国の実際のトン数の総計の 35%を超えてはならない。

b. 将来の海軍制限に関する一般条約が、異なる国の艦隊間の合意された比率による制限方法を採用しない場合、ドイツ政府は、その将来の一般条約に前号の比率を組み込むことを主張しない。
ただし、そこで採用される将来の海軍軍備制限の方法が、この比率を維持できることを完全に保証するものであることが条件である。

c. ドイツは、あらゆる状況において35:100の比率を堅持する。例えば、この比率は、他の国の建設によって影響を受けることはない。
過去に通常維持されていた海軍軍備の一般的均衡が、他国による異常で例外的な建造によって激しく崩れた場合、ドイツ政府は英国政府に対して、このようにして生じた新しい状況を調査するよう要請する権利を留保します。

d. ドイツ政府は、海軍兵力の制限に関して、海軍艦艇をカテゴリーに分け、各カテゴリーの艦艇の最大トン数 および/または兵装を定め、各艦艇のカテゴリーごとに各国に許可されるトン数を割り当てる方式を支持する。
従って、原則として、以下の(f)に従い、ドイツ政府は、維持すべき各艦種のトン数に対して 35%の比率を適用する用意があり、特定の艦種におけるこの比率の変更は、将来の海軍制限に関する一般条約で到達しうるこの目的に対する取り決めに依存し、その取り決めは、ある艦種の増加 は、対応する他の艦種の減少によって補われるという原則に基づいて行われるものである。
海軍の制限に関する一般条約が締結されない場合、または将来の一般条約にカテゴリーによる制限を設ける規定がない場合、ドイツ政府が1つまたは複数のカテゴリーで35%の比率を変更する権利を持つ方法と程度は、現存する海軍状況に照らして、ドイツ政府と英国政府の間で合意により解決すべき事柄である。

e. 他の重要な海軍国が巡洋艦と駆逐艦を単一カテゴリーとする場合、およびその限りにおいて、ドイツはこれら2種類の艦船を単一カテゴリーとする権利を享受するが、これらの艦船が2カテゴリーとなることを希望するものである。

f. ただし、潜水艦については、総トン数で35:100の比率を超えない範囲で、イギリス連邦加盟国の保有する潜水艦の総トン数に等しいトン数を保有する権利をドイツが有するものとする。
但し、ドイツ政府は、直後の文に示す状況を除き、ドイツの潜水艦のトン数は、イギリス連邦加盟国の保有するトン数の合計の45%を超えないものとすることを約束する。
ドイツ政府は、ドイツが上記の45%を超える潜水艦のトン数に関する権利を行使する必要があると考える状況が生じた場合、その旨をイギリスの陛下の政府に通知し、ドイツ政府がその権利を行使する前に、この問題を友好的な議論の対象とすることに同意する権利を留保するものとする。

g. 35%の比率の計算が、各船舶のカテゴリーについて、そのカテゴリーの船舶に許容される個々の最大トン数で正確に割り切れるトン数を与えることは非常にあり得ないので、ドイツがそのトン数を十分に利用することを妨げられないようにするために調整を行うことが必要であろう。
そのため,ドイツ政府と英国政府は,この目的のために必要な調整について共通の合意により解決することに合意し,この手続きにより,総戦力に関する比率35:100から実質的または恒久的に逸脱してはならないことが理解されている。

2 上記の説明の(c)項に関して、私は、英国政府がドイツ政府の留保に留意し、以下のことを認識したことをお知らせします。

私は、ドイツ政府の提案がこのノートの前段落に正しく示されていることにドイツ政府が同意していることを私に知らせるよう、閣下に依頼する光栄に浴しています。

私は、この内容をお知らせできることを光栄に思います。

[署名]

サムエル・ホア

駐英ドイツ大使から英国外務大臣への書簡

1935年6月18日

サミュエル・ホア卿、バート、GCSI、GBE、CMG、MP(右閣僚

閣下

私は、本日付の貴殿のメモを受領したことを光栄に思います。
このメモには、英国陛下の政府を代表し、以下のような連絡をすることが記されています。

[以下はI.の下に印刷されている文章です。]

ドイツ帝国政府の提案が前述の通信に正確に記載されていることを閣下に確認し,英国政府がその提案を受け入れていることを喜んでお伝えします。

ドイツ帝国政府はまた、現在英国政府との間で合意に達し、両政府間で今日から恒久的かつ明確な合意と見なすこの協定は、世界のすべての海軍国の間でこれらの問題に関する一般協定の締結を促進するという意見も有しています。

私は、この内容をお知らせできることを光栄に思います。

[署名]

ヨアヒム・フォン・リッベントロップ

ドイツ国特命全権大使

2021年12月11日

ロンドン海軍軍縮条約(1930年4月22日)(第1章)

官報掲載のものを、現代仮名遣い及び現用漢字に直して記載したものです(後日口語調のものも作成する予定)

公布

朕枢密顧問の諮詢を経て昭和5年4月22日「ロンドン」に於いて帝国全権委員が亜米利加合衆国、英帝国、仏蘭西国及伊太利国の全権委員と共に署名調印したる1930年「ロンドン」海軍条約を批准し茲に是を公布せしむ。

御名御璽

昭和6年1月1日

内閣総理大臣臨時代理
 外務大臣 男爵 幣原喜重郎
 外務大臣 男爵 幣原喜重郎
 海軍大臣 男爵 安保 清種

条約

第1条

亜米利加合衆国 大統領、フランス共和国大統領、「グレート、ブリテン」「アイルランド」及「グレート、ブリテン」海外領土皇帝印度皇帝陛下、伊太利国皇帝陛下並に日本国皇帝陛下は
競争的軍備に常に伴う危険を防止し且負担を軽減せんことを希望し並に「華府」海軍会議に依り開始せられたる事業を進展せしめ且軍備の一般的の制限及縮少の漸進的実現を容易ならしめんことを希望し
海軍軍備の制限及縮少に関する条約を締結することに決し依って左の如く其の全権委員を任命せり

亜米利加合衆国大統領
 国務長官 「ヘンリ、エル、スティムスン」
 英国駐箚大使「チャールズ、ジー、ドーズ」
 海軍大臣「チャールズ、フランシス、アダムズ」
 「アーカンソー」州選出上院議員「ジョーゼフ、ティー、ロビンスン」
 「ペンシルヴェーニア」州選出上院議員「デーヴィド、エー、リード」
 白耳義国駐箚大使「ヒュー、ギブスン」
 「メキシコ」国駐箚大使「ドワイト、ダブリュー、モロー」

仏蘭西共和国大統領
 内務大臣、内閣議長、下院議員「アンドレ、ダルディェ」
 外務大臣、下院議員「アリスティード、ブリアン」
 海軍大臣、下院議員「ジァック、ルイ、デュメニル」
 殖民大臣、下院議員「フランソア、ビエトリ」
 英国駐箚仏蘭西共和国大使「エーメ、ジョゼフ、ドゥ、フルリオ」

「グレート、ブリテン」「アイルランド」及「グレート、ブリテン」海外領土皇帝印度皇帝陛下
 「グレート、ブリテン」及北部「アイルランド」並に国際連盟の個々の連盟国に非ざる英帝国の一切の部分
  国庫尚書件総理大臣、下院議員「ジェームズ、ラムジ、マクドナルド」
  外務大臣、下院議員「アーサー、ヘングスン」
  海軍大臣、下院議員「アルバート、ヴィクター、アレグザンダー」
  印度大臣、下院議員「ウィリアム、ウェデウッド、ベン」
「カナダ」
  国防大臣、「カナダ」枢密顧問官、陸軍大佐「ジェームズ、レートン、ローストン」
  仏蘭西国駐箚「カナダ」特命全権公使、「カナダ」枢密顧問官「フィリップ、ロア」
「オーストラリア」連邦
  貿易及税関大臣「ジェームズ、エドワード、フェントン」
「ニュー、ジーランド」
  「ロンドン」駐在「ニュー、ジーランド」高級委員「トマス、メースン、ウィルフォド」
南阿弗利加連邦
  「ロンドン」駐在南阿弗利加連邦高級委員「チャールズ、シアドア、ティー、ウォーター」
「アイルランド」自由国
  「ロンドン」駐在「アイルランド」自由国高級委員「ティモシ、アロイシアス、スミディ」
印度
  「ロンドン」駐在印度高級委員「サー、アトゥール、チャンドラ、チャタジー」

伊太利国皇帝陛下
 外務大臣、下院議員「ディノ、グランディ」
 海軍大臣、上院議員、海軍戦隊少将「ジウゼッペ、シリアンニ」
 英国駐箚特命全権大使「アントニオ、キアラモンテ、ボルドナロ」
 上院議員、海軍大将、男爵「アルフレド、アクトン」

日本国皇帝陛下
 貴族院議員若槻礼次郎
 海軍大臣、海軍大将財部彪
 英国駐箚特命全権大使松平恒雄
 白耳義国駐箚特命全権大使永井松三

右各全権委員は互に其の全権委任状を示し是が良好妥当なるを認めたる後左の如く協定せり

第1章

第1条

締約国は1922年2月6日「ワシントン」に於いて書相互の間に署名せられ且つ本条約に於いて「ワシントン」条約と称せらるる海軍軍備に関する条約の第2章第3節に規定せらるる主力艦代換トン数の龍骨据付の自国の権利を1931年ないし1936年の期間中行使せざることを約す

右規定は不慮の事変に依り亡失し又は破壊せられたる艦船の代換に関する前記条約第2章第3節第1号(ハ)に掲げられる規定の適用を妨ぐることなし

尤も仏蘭西国及伊太利国は前記条約の規定により1927年及1929年に自国が起工するの権利を与えられたる代換トン数を建造することを得

第2条

  1. 合衆国、「グレート、ブリテン」及北部「アイルランド」連合王国並日本国は左の主力艦を本条に規定せらるる主力艦を本条に規定せらるる所に従い処分すべし

    合衆国
     「フロリダ」
     「ユタ」
     「アーカンソー」又は「ワイオーミング」
    連合王国
     「ベンボー」
     「アイアン、デューク」
     「マーバラ」
     「エンペラー、オブ、インディア」
     「タイガー」
    日本国
     比叡

    (イ) (ロ)の規定を留保し前記艦船は「ワシントン」条約第2節2(ハ)に依り専ら標的用に変更せられざる限り左の如く廃棄せらるべし
    合衆国に依り廃棄せらるべき艦船中の1隻及連合王国に依り廃棄せらるべき艦船中の2隻は本条約の実施の時より12月以内に「ワシントン」条約第2少第2節3(ロ)に従い戦闘任務に適せざるものと為さるべし右実施の時より24月以内に右第2節2(イ)又は(ロ)に従い確定的に廃棄せらるべし合衆国に依り廃棄せらるべき艦船中の第2隻並に連合王国に依り廃棄せらるべき艦船中の第3隻及び第4隻に付ては右機関は本条約の実施の時より夫々18月及30月とす
    (ロ) 本条に依り処分せらるべき艦船中左記は練習用の為保有せらるることを得
     合衆国 「アーカンソー」又は「ワイオーミング」
     連合王国 「アイアン、デューク」
     日本国 比叡
    右艦船は本条約第2章第2付属書第5条に規定せらるる状態に減勢せらるべし右艦船の要求せられたる状態に減勢するの作業は本条約の実施の時より合衆国及連合王国に付ては18月以内に又日本国に付ては12月以内に始すべし右作業は前記期間の満了の時より6月以内に完了せらるべし
    右艦船中の何れかにして練習用の為保有せられざるものは本条約の実施の時より18ヶ月以内戦闘任務に適せざるものと為され且30月以内に確定的に廃棄せらるべし
  2. 本条約第1条に掲げられる代換トン数を仏蘭西国又は伊太利国が建造することに依り「ワシントン」条約に依り必要と為るべきことあるべき主力艦の処分を別とし「ワシントン」条約第2章第3節第2号に掲げらるる一切の現存主力艦にして処分せらるべきものと前号に於いて規定せられざるものは本条約の有効期間中保有せらるることを得
  3. 代換の権利は代換トン数の起工の遅延により失わるることなく且旧艦は代換せらるるを至る迄は「ワシントン」条約第2条第3節第2号に依り廃棄の期限の到来せる場合と雖も保有せらるることを得

第3条

  1. 「ワシントン」条約の適用については該条約第2章第4節に示さるる航空母艦の定義は茲に左の定義を以て之に代う
    「航空母艦」なる用語は排水量の如何を問わず特に且専ら航空機を搭載するの目的を以て設計せられ且艦上に於いて航空機の発着し得る構造を有する一切の水上艦船を包含す
  2. 主力艦、巡洋艦又は駆逐艦に航空機の着艦用又は離艦用の台又は甲板を装備することは右艦船が専ら航空母艦として設計せられたるか又は改造せられたるものに非ざる限り右の如く装備せられたる艦船を航空母艦の艦種に算入し又は分類するに至らしむることなし
  3. 1930年4月1日より現存する主力艦には航空機着艦用の台又は甲板を装備することを得ず

第4条

  1. 口径6.1インチ(155ミリメートル)を越える砲を搭載する基準排水量1万トン(1万160メートル式トン)又は之に達せざる航空母艦は何れの締約国も之を取得し又は之を建造し若しくは建造せしむることを得ず
  2. 一切の締約国に付本邦訳の実施せらるる時より口径6.1インチ(155ミリメートル)を越える砲を搭載する基準排水量1万トン(1万160メートル式トン)又は之に達せざる航空母艦は何れの締約国の法域内に於いても建造せられざるべし

第5条

航空母艦は各場合に従い「ワシントン」条約第9条及び第10条により又は本条約第4条に依り認められるものに比し一層有力なる砲を搭載する為の設計及び構造を有せざることを要す

右第9条及び第10条の何れの場所におけるを問わず口径6インチ(152ミリメートル)と掲げらるる時は口径6.1インチ(155ミリメートル)を以て之に代う

2021年12月10日

第二次ロンドン海軍軍縮条約(第5章:最終節、附則)

第5章:最終節

第27条

この条約は、1942年12月31日まで効力を有する。

第28条

  1. グレートブリテン及び北アイルランド連合王国の陛下の政府は、1940年の最後の四半期中に、外交ルートを通じて、海軍軍備の削減及び制限のための新しい条約を作成するための会議を開催することを目的として、この条約の締約国の政府間の協議を開始する。
    この会議は、予備的な協議の結果、その時点でそのような会議を開催することが望ましくなく、また、実行不可能であることが判明した場合を除き、1941年に開催されなければならない。
  2. 前項の協議の過程において、当時の状況及び主力艦の設計及び建造の間に得られた経験に照らして、将来の年次計画に基づいて建造される主力艦の基準排水量又は砲の口径の縮小に合意することが可能であるかどうか、また、可能であれば、主力艦のコストの削減をもたらすことが可能であるかどうかを判断するために、意見交換を行うものとする。

第29条

この条約のいかなる規定も、将来のいかなる条約に対しても先例となるものではない。

第30条

この条約は、署名国がそれぞれの憲法上の方式に従って批准するものとし、批准書は、できる限りすみやかにイギリス国王陛下の政府に寄託するものとし、イギリス国王陛下は、批准書寄託のすべての手続きの認証謄本を前記の国の政府及び第31条の規定に従って加盟がなされた国の政府に送付するものとする。

この条約は、1937年1月1日に発効するが、その日までにすべての前記国の批准書が寄託されていなければならない。前記のすべての批准書が 1937年1月1日までに寄託されていない場合には、この条約は、これらの批准書がすべて受理された後直ちに効力を生ずる。

第31条

  1. この条約は、本日の日付以降いつでも、海軍軍備の制限及び縮小に関する条約が 1930年4月22日にロンドンで署名された国であって、この条約が署名されていない国を代表して加盟することができるものとする。批准書は、イギリス国王陛下に寄託されるものとし、イギリス国王陛下は、寄託の手続きの認証謄本を署名国政府及び加盟国を代表して行う国の政府に送付する。
  2. 加盟は、この条約の発効日前に行われた場合には、発効日に効力を生ずるものとする。その後に行われた場合には、それらは直ちに効力を生ずる。
  3. この条約の発効の日の後に加盟する場合には、加盟国は、加盟の日の後1ヶ月以内に他のすべての締約国に到達するように次の情報を提供しなければならない。
    a. 第12条(a)に記載されたカテゴリー又はサブカテゴリーに属する、既に承認されているが、まだ敷設又は取得されていない船舶に関する第12条(a)及び第14条に規定された建設及び取得の宣言の最初の年間プログラム
    b. この条約の発効の日の後に完成し又は取得された上記の分類又は下位分類の船舶のリストであって、第12条(b)に規定する当該船舶の明細を記載したもの、及びこの条約の締約国でない国のためにこの条約の発効の日の後に加盟国の管轄内で建造された当該船舶に関する同様の明細を記載したもの
    c. 第12条(b)に定める、加盟国のためにその時点で建造中の上記のカテゴリー又はサブカテゴリーのすべての船舶の明細(当該船舶が自国の管轄区域内で建造されているか否かを問わない)、及びこの条約の締約国でない国のためにその管轄区域内でその時点で建造中の当該船舶に関する同様の要目
    d. 第19条に規定するすべての小型艦艇及び補助艦艇の特徴及びそれらに関する情報を記載したリスト
  4. 各締約国は、この条約の効力発生の日の後に加盟が行われた国の政府に対し、上記の期間内に到達するように、上記の(3)に規定する情報を相互に提供する。
  5. この条約の第3章のいかなる規定も、加盟国が、加盟の日から4ヶ月の間のいつでも、最初の年次建造計画若しくは取得宣言に含まれている若しくは含まれる予定の艦船又は以前に許可された艦船を敷設し又は取得することを妨げるものではないが、各船舶に関する第12条(b)に規定する情報は、加盟の日から1ヶ月以内に他のすべての締約国に到達するように伝達されるものとする。

第32条

この条約は、フランス語及び英語のテキストがいずれも同様に真正であるものとし、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国の陛下の政府の公文書館に保管されるものとし、この公文書館は、1930年4月22日にロンドンで海軍軍備の制限及び縮小のための条約が署名された国の政府にその認証謄本を送付するものとする。

これを信じて、上記の全権大使は本条約に署名し、これに印を押した。

1936年3月25日にロンドンで行われた。

[署名は省略]

署名の議定書

  1. 本日の日付を付した条約に署名する時点で、以下の署名者は、それぞれの政府からその効果について正当な権限を与えられ、次のとおり合意した。
  2. 上述の条約の発効前に、いずれかの国の海軍建設または事情の変化により、現在の形式での条約の発効が望ましくないと思われる場合には、この条約が署名された国を代表して、このような状況に対応するために条約の条項のいずれかを修正することが望ましいかどうかについて協議する。
  3. 条約が1937年1月1日に発効しなかった場合には、上記の国は、一時的措置として、条約の第12条(a)に記載されているカテゴリー又はサブカテゴリーに属する船舶の敷設、取得又は完成後に、1937年1月1日から条約の発効日までの間に敷設されたすべての当該船舶に関する次の詳細な情報を速やかに相互に伝達するものとする。
    ・名称または呼称
    ・船舶の分類
    ・基準排水量(単位:トン及びメートルトン)
    ・基準排水量における主要寸法、すなわち、吃水線の長さおよび吃水線以下の最大幅
    ・基準排水量での平均吃水
    ・最大砲の口径
  4. この議定書は、フランス語と英語のテキストが同等の信憑性を持つものとし、この日の日付で発効するものとする。この議定書は、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国の陛下の公文書館に保管されるものとし、この公文書館は、1930年4月22日にロンドンで海軍軍備の制限及び縮小のための条約が締結された国の政府にその認証謄本を送付するものとする。

これを信じて、上記の全権大使はこの議定書に署名し、これに印を押した。

1936年3月25日にロンドンで行われた。

[署名は省略]

追加議定書

署名された全権大使は、本日付の条約の終了後も、事前通報及び情報交換の制度が国際的な合意によって継続されること、並びに将来の条約において海軍兵力の更なる削減を達成することが可能であることに期待を表明するものである。

1936年3月25日にロンドンで行われた。

[署名は省略]

第二次ロンドン海軍軍縮条約(第4章:一般条項および保護条項)

第4章:一般条項および保護条項

第22条

いかなる締約国も、譲渡、売却その他の方法により、自国の水上艦艇又は潜水艦を、当該艦艇が外国の海軍の水上艦艇又は潜水艦となるような方法で処分してはならない。この規定は、補助艦艇には適用されない。

第23条

この条約のいかなる規定も、いずれかの締約国が艦船の喪失又は事故による破壊の場合に、当該艦船が老朽化する前に、第12条(b)に掲げる新造艦船の要目が他のすべての締約国に到達した後直ちに当該艦船を同一カテゴリー又はサブカテゴリーの艦船と交換する権利を害するものではない。

前項の規定は、このような状況において、基準排水量が8,000トン(8,028メート ルトン)を超えるサブカテゴリー(b)の軽水上艦艇又は当該艦船が老朽化する前のサブカテゴリー(a)の軽水上艦艇が、同じサブカテゴリーの基準排水量が10,000トン(10,160メート ルトン)までの軽水上艦艇と直ちに交換されることについても適用する。

第24条

いずれかの締約国が戦争に従事することになった場合には、当該締約国は、自国の防衛のための海軍の要求が重大な影響を受けると考える場合には、自己に関する限り、この条約の義務の一部又は全部を停止することができる。
ただし、当該締約国は、他の締約国に対し、当該停止を必要とする事情を速やかに通知し、かつ、停止する必要があると考えられる義務を明示しなければならない。

他の締約国は、この場合には、速やかに協議し、各締約国が停止することができるこの条約の義務がある場合には、その義務について合意することを目的として、このように提示された事態を検討しなければならない。
この協議で合意が得られない場合には、前記締約国のいずれかは、自己に関する限り、この条約の義務の一部又は全部を停止することができる。
ただし、停止することが必要であると考えられる義務については、他の締約国にすみやかに通知しなければならない。

敵対行為が終了した場合には、締約国は、停止された条約の義務が再び効力を生ずる日を定め、かつ、必要と認められるこの条約の改正について合意することを目的として、共に協議しなければならない。

第25条

  1. この条約の第4条、第5条及び第7条に定める基準排水量及び武装に関する制限及び制約に適合しない船舶が、この条約の締約国でない国によって承認され、建造され、又は取得された場合には、各締約国は、自国の安全保障上の要求を満たすために必要であると考える場合には、また、その程度に応じて、これを離脱する権利を留保する。
    a. 条約の残存期間中は、第3条、第4条、第5条、第6条(1)および第7条の制限および制約から、また当該年度においては、自国の年間建設計画および取得宣言から除外する。
    b. この権利は、以下の規定に従って行使されるものとする。
  2. この権利を行使することが必要であると考える締約国は、提案された逸脱の性質及び程度並びにその理由を正確に記載して、他の締約国にその旨を通知しなければならない。
  3. 締約国は通知の後、他の締約国と協議して、逸脱の範囲を最小限にすることを目的とする合意に達するよう努めなければならない。
  4. 前記(2)の規定に基づいて行われた通知の最初のものの日から3ヶ月の期間が経過したときは、各締約国は、反対の合意が成立したことを条件として、この条約の残余の期間中、第3条、第4条、第5条、第6条(1)及び第7条に規定する制限及び制約から離脱する権利を有する。
  5. 前項の期間が満了した場合には、いずれの締約国も、前記(3)に規定する協議において到達した合意に従い、かつ、他のすべての締約国に通知することにより、自国の年次建造計画及び取得申告書から離脱し、また、建造中の艦船又は既に建造計画若しくは取得申告書に記載されている艦船の特性を変更することが自由にできるものとする。
  6. このような場合には、この条約の第3章のいずれかの規定を理由とする、いかなる艦船の取得、キールの設置又は変更の遅延も要しない。
    ただし、第12条(b)に記載された事項は、いずれかの艦船のキールが敷設される前に、他のすべての締約国に通知されなければならない。
    取得の場合には、艦船に関する情報は、第14条の規定に基づいて提供されるものとする。

第26条

いずれかの締約国の国家安全保障上の要求が、この条約の第6条(2)、第24条及び第25条に規定するもの以外の事情の変化によって重大な影響を受けるとその締約国が判断した場合には、当該締約国は、当該年度について、建造の年次計画及び取得の宣言から離脱する権利を有する。
ただし、条約の締約国がその制限及び制約の範囲内で建設を行うことは、本条の趣旨に照らして状況の変化を構成するものではない。
上述の権利は、次の規定に従って行使される。

  1. 当該締約国は、上記の権利を行使することを希望する場合には、他のすべての締約国にその旨を通知し、どのような点において建設の年次計画及び取得の宣言から離脱することを提案するかを、理由を付して述べなければならない。
  2. その後、締約国は、状況に対応するために離脱が必要であるか否かについて合意することを目的として、共に協議する。
  3. 各締約国は、上記(2)の規定に基づいて行われた最初の通知の日から3ヶ月の期間が経過したときに、これに反する合意が成立していることを条件として、他の締約国に対してどのような点で離脱を提案しているかを正確に記載した通知を速やかに行うことを条件として、自らの建造の年次計画及び取得宣言を離脱する権利を有するものとする。
  4. この場合には、このような場合には、この条約の第3章のいずれかの規定を理由とする、いかなる艦船の取得、キールの設置又は変更の遅延も要しない。
    ただし、第12条(b)に記載された事項は、いずれかの艦船のキールが敷設される前に、他のすべての締約国に通知されなければならない。
    取得の場合には、船舶に関する情報は、第14条の規定に基づいて与えられるものとする。

第二次ロンドン海軍軍縮条約(第3章:事前通知と情報交換の義務)

第3章:事前通知と情報交換の義務

第11条

各締約国は、自国の管轄区域内で建造されるか否かを問わず、第12条中の(a)に掲げるカテゴリー及びサブカテゴリーのすべての艦船の建造及び取得のための年次計画に関する情報、並びに当該艦船及び既に完成した当該カテゴリー又はサブカテゴリーの艦船の改造の詳細を示す定期的な情報を、以下に定めるとおり、他の各締約国に伝達しなければならない。

この条約の本編及び後編の目的上、情報は、当該情報が提供された締約国に派遣されている外交官に当該情報が伝達された日に、締約国に到達したものとみなす。

この情報は、その情報を提供した締約国が公表するまでは、秘密として取り扱われる。

第12条

1つの締約国によって又はそのために建造された艦船に関して前条に基いて提供されるべき情報は、 次のとおり提供されるものとし、かつ、他のすべての締約国に前記の期間内又は時期に到達するようにする。

a. 各暦年の最初の4ヶ月以内に、以下のカテゴリー及びサブカテゴリーに属するすべての艦船の建造の年次計画を、各カテゴリー又はサブカテゴリーの艦船の数及び各艦船について最大の砲の口径を明記して提出すること。
通知の対象となるカテゴリーとサブカテゴリーは以下のとおりである。

主力艦
・サブカテゴリー(a)
・サブカテゴリー(b)
航空母艦
・サブカテゴリー(a)
・サブカテゴリー(b)
軽水上艦艇
・サブカテゴリー(a)
・サブカテゴリー(b)
・サブカテゴリー(c)
潜水艦

b. キールを敷設する日の4ヶ月以上前に、各当該艦船に関して以下の要目を通知する。

  • 艦名
  • カテゴリーおよびサブカテゴリー
  • 基準排水量(トンおよびメトリックトン)
  • 基準排水量における吃水線での長さ
  • 基準排水量における吃水線上の長さ、基準排水量における吃水線上または吃水線下の最大幅
  • 基準排水量での平均吃水
  • 設計馬力
  • 設計速度
  • 主機の種類
  • 燃料の種類
  • 口径3インチ(76mm)以上の全ての砲の口径とその門数
  • 口径3インチ(76ミリ)未満の砲のおおよその門数
  • 魚雷発射管の数
  • 機雷を敷設するように設計されているか否か
  • 装備されるべき航空機のおおよその数
  • 各艦船のキールの敷設後できる限り早く、その敷設された日

c. 各艦船の完成日から1ヶ月以内に、完成日と、完成時の船舶に関する上記(b)項で指定されたすべての要目を通知する。

d. 毎年1月に、上記(a)項に記載されたカテゴリーおよびサブカテゴリーに属する艦船についてすべての要目を通知する。

  1. 建設中の船舶について、前年中に行う必要があると判明した重要な変更に関する情報で、これらの変更が上記(b)に記載された内容に影響を与える場合のもの。
  2. 前年度中に完成した艦船に施された重要な変更に関する情報で、これらの変更が上記(b)に記載された内容に影響を与える場合のもの。
  3. 前年度中に廃艦またはその他の方法で処分された艦船に関する情報。そのような艦船がスクラップされない場合には、その艦船の新たな地位と状態を決定するのに十分な情報を提供しなければならない。

f. 完成した艦船が上記(a)項に記載されたカテゴリーもしくはサブカテゴリーのいずれかに入ることになるような改造、または艦船が上記カテゴリーもしくはサブカテゴリーのいずれかから別のカテゴリーに変更されることになるような改造を行う前の4ヶ月以上前に、上記(b)項に規定された要目を通知する。

第13条

第12条(a)に掲げるカテゴリー又はサブカテゴリーに属する艦船は、その艦船が含まれている年次計画及び第12条(b)に規定するその艦船に関する要目が他のすべての締約国に到達した日から4ヶ月の期間が経過するまでは、起工してはならない。

第14条

第12条(a)に掲げるカテゴリー又はサブカテゴリーに属する完成した又は部分的に完成した艦船を締約国が取得しようとする場合には、当該艦船は、同条に規定する年間プログラムに含まれる艦船と同時に、かつ、同一の方法で申告しなければならない。当該艦船は、当該申告書が他のすべての締約国に到達した日から4か月の期間が経過するまでは、取得してはならない。当該艦船については、第12条(b)に記載された事項に加えて、キールが敷設された日を記載し、当該艦船の取得のための契約が締結された日から1ヶ月以内に他のすべての締約国に到達するようにしなければならない。第12条(d)、(e)及び(f)に掲げる事項は、同条の規定に従って提供されるものとする。

第15条

各締約国は、第12条(a)に規定する年次計画を通知する際に、他のすべての締約国に対し、過去の年次計画及び宣言に含まれるすべての艦船であって、まだ起工又は取得されていないが、最初に述べられた年次計画でカバーされる期間中に起工又は取得する意思があるものを通知するものとする。

第16条

第12条(a)に掲げるカテゴリー又はサブカテゴリーに属する艦船の起工前に、第12条(b)に基づいて通知された当該艦船に関する要目に重要な変更が加えられた場合には、この変更に関する情報を提供し、この情報が他のすべての締約国に到達してから少なくとも4ヶ月後まで、起工を延期する。

第17条

いかなる締約国も、第12条(a)に掲げるカテゴリー又はサブカテゴリーの船舶であって、当該年度の建造の年次計画若しくは取得の宣言又はそれ以前の年次計画若しくは宣言に以前に含まれていないものを起工し、又は取得してはならない。

第18条

この条約の締約国でない国の注文による第12条(a)に掲げるカテゴリー又はサブカテゴリーに属する艦船の建造、近代化又は改装がいずれかの締約国の管轄内で行われる場合には、当該締約国は、他のすべての締約国に契約の署名の日を速やかに通知し、かつ、当該艦船に関して第12条(b)、(c)及び(d)に掲げるすべての情報を可能な限り速やかに提供しなければならない。

第19条

各締約国は、自国のすべての小艦艇及び補助艦艇のリストに、第12条(b)に掲げる特性及びそれらが意図されている特定の役務に関する情報を、この条約の効力発生の日から1ヶ月以内に他のすべての締約国に到達するように、また、その後の各年の1月中に他のすべての締約国に到達するように、リストの修正及び情報の変更を与えなければならない。

第20条

各締約国は、この条約の発効の日から1ヶ月以内に他の締約国に到達するように、第12条(b)に記載されたとおり、第12条(a)に記載されたカテゴリー又はサブカテゴリーのすべての艦船であって自国のために現在建造中のものについて、当該艦船が自国の管轄区域内で建造されているか否かを問わず、また、この条約の締約国でない国のために自国の管轄区域内で現在建造中の当該艦船に関する同様の情報を各締約国に伝達しなければならない。

第21条

各締約国は、最初の年次建造計画及び取得宣言を通知する際に、他の各締約国に対し、第12条(a)に掲げるカテゴリー又はサブカテゴリーに属する艦船であって、以前に許可されたものであり、かつ、当該計画の対象となる期間中に敷設し又は取得する意思があるものを通知しなければならない。

この条約の第1章の規定は、いずれの締約国も、この条約の発効の日から起算して4ヶ月の間のいかなる時にも、自国の最初の建造年次計画若しくは取得宣言に含まれる若しくは含まれる予定の艦船又は以前に許可された艦船を起工し又は取得することを妨げるものではない。
ただし、各船舶に関する第12条(b)に規定する情報は、この条約の発効の日から1ヶ月以内に他のすべての締約国に到達するように伝達されなければならない。

この条約が1937年5月1日までに効力を生じない場合には、第12条(a)及び第14条に基づ いて伝達される建造及び取得宣言の最初の年次計画は、この条約の効力発生の日から1ヶ月以内に他のすべての締約国に到達するものとする。

2021年12月8日

第二次ロンドン海軍軍縮条約(第2章:制限事項)

第2章:制限事項

第2条

この条約の効力発生の日以後は、この章に定める排水量又は武装に関する制限を超える船舶は、いずれの締約国も取得してはならず、いずれの締約国も、自国領又はその支配区域内で建造してはならない。

第3条

この条約の効力発生の日において、この条約のこの章に規定する制限を超える口径の砲を搭載しているいかなる艦船も、再建又は近代化された場合にその艦船が以前に搭載していた砲よりも大きい口径の砲で再武装されてはならない。

第4条

  1. いかなる主力艦も、基準排水量が35,000トン(35,560メートルトン)を超えてはならない。
  2. いかなる主力艦も、口径が14インチ(356mm)を超える銃を搭載してはならない。ただし、1922年2月6日にワシントンで署名された海軍軍備制限条約の締約国のいずれかが、この条約の発効日である1937年4月1日までにこの規定に適合する合意を結ぶことができない場合には、主力艦が搭載する砲の最大口径は16インチ(406mm)とする。
  3. 基準排水量が17,500トン(17,780メートルトン)未満であるサブカテゴリー(a)の主力艦は、1943年1月1日より前に建造または取得してはならない。
  4. 口径10インチ(254mm)以下の砲を主武装とする主力艦は、1943年1月1日以前に建造または取得してはならない。

第5条

  1. いかなる航空母艦も、基準排水量が23,000トン(23,368メートルトン)を超えてはならず、また、口径が6.1インチ(155mm)を超える砲を搭載してはならない。
  2. 空母の武装に、口径が5.25インチ(134mm)を超える砲が含まれている場合は、その砲を搭載してはならない。(口径が134mmを超える砲がある場合には、その口径を超える砲の総数は、10門以下とする。

第6条

  1. 基準排水量が8,000トン(8,128メートルトン)を超えるサブカテゴリー(b)の軽水上艦艇及びサブカテゴリー(a)の軽水上艦艇は、1943年1月1日以前に建造又は取得してはならない。
  2. 上記(1)項の規定にかかわらず、いずれかの締約国の国家安全保障上の要求が、いずれかの国によるサブカテゴリー(b)の軽水上艦艇又は上記(1)項の制限に適合しない小型水上艦艇の実際の建造量又は許可された建造量によって重大な影響を受けているとその締約国が判断した場合、当該締約国は、自己の意図及びその理由を他の締約国に通知した上で、この条約の第3章の規定を遵守することを条件として、基準排水量が10,000トン(11,600メートルトン)までのサブカテゴリー(a)及び(b)の軽水上艦艇を起工し又は取得する権利を有する。
    他の各締約国は、その後、同様の権利を行使することができる。
  3. 上記(1)項の規定は、1942年以降も同項に定める制限を継続することを明示的にも黙示的にも約束するものではないことを理解する。

第7条

いかなる潜水艦も、基準排水量2,000トン(2,032メートルトン)を超えてはならず、また、口径5.1インチ(130mm)を超える砲を搭載してはならない。

第8条

すべての艦船は、この条約の第1条に定義されている基準排水量で評価されなければならない。

第9条

平時の商船は、口径が6.1インチ(155mm)以下の砲の搭載のために甲板を必要に応じて補強する場合を除いて、戦闘艦に改造する目的で武装の設置のための準備をしてはならない。

第10条

この条約の効力発生の日以前に起工された艦船であって、その基準排水量若しくは武装がそのカテゴリー若しくはサブカテゴリーについてこの条約の本編に規定されている制限若しくは制約を超えるもの、又はその日以前に旧条約の規定に基づいて専ら標的用に改造され、若しくは専ら実験若しくは訓練の目的のために保持されていた船舶は、その日以前に適用されていたカテゴリー若しくは呼称を保持する。

第二次ロンドン海軍軍縮条約の訳文(序文、第1章:用語の定義)

DeepLを元に翻訳しているので、誤訳があるかも。

海軍兵力の制限に関する条約

アメリカ合衆国大統領、フランス共和国大統領及びグレートブリテン国王、アイルランド国王及び英国海外領土の国王、インド皇帝。

海軍軍備の競争に固有の負担を軽減し、危険を防止することを望む。

1922年2月6日にワシントンで署名された海軍軍備制限条約及び1930年4月22日にロンドンで署名された海軍軍備の制限及び縮小に関する条約(その第4部を除く)が間もなく失効することに鑑み、海軍軍備の制限及び海軍建設に関する情報交換のための規定を設けることを目的とする。

これらの目的のために条約を締結することを決議し、その全権大使に任命したものである。

アメリカ合衆国大統領代理
 ノーマン・H・デイヴィス閣下
 ウィリアム・H・スタンドレー提督(米国海軍海軍作戦本部長)

フランス共和国大統領代理
 シャルル・コルビン閣下(駐英フランス共和国特命全権大使)
 ジョルジュ・ロベール中将(最高海軍評議会メンバー、地中海海軍総監)

グレートブリテン、アイルランド、および英国海外領土の国王陛下、インドの皇帝代理
 グレートブリテンおよび北アイルランド、そして大英帝国のすべての地域のために
  アンソニー・イーデン閣下(外務大臣)
  モンセル閣下(海軍大臣)
  アール・スタンホープ閣下(外務政務次官)
 カナダ自治領
  ヴィンセント・マッセイ閣下(駐英カナダ高等弁務官)
 オーストラリア自治領
   スタンレー・メルボルン・ブルース(駐英オーストラリア高等弁務官)
 ニュージーランド自治領
  クリストファー・ジェームズ・パル閣下(駐英ニュージーランド高等弁務官)
 英領インド
  リチャード・オースティン・バトラー閣下(インド担当省政務次官)

互いに全権を委任した結果、以下の通り合意した。

第1章:定義

第1条

この条約の目的上、以下の表現は、以下に定義される意味で理解される。

A. 基準排水量

  1. 水上艦の基準排水量とは、完全に人が乗り込み、エンジンがかかり、海上に出られるように装備された、戦争に携行することを意図したすべての武装及び弾薬、機器、装具、乗組員のための食料及び真水、あらゆる種類の雑多な貯蔵品及び器具を含む状態の艦船の排水量であるが、燃料及び予備の給水は搭載されていないものである。
  2. 潜水艦の基準排水量は、完全な人員を配置し、エンジンをかけ、海に出る準備ができており、戦争に携行することが意図されているすべての武装および弾薬、機器、衣装、乗組員のための食料、あらゆる種類の雑多な貯蔵品および器具を含む(非水密構造の水を除く)水上排水量であるが、燃料、潤滑油、真水またはいかなる種類のバラスト水も搭載されていないものである。
  3. 「メートルトン」という表現以外の「トン」という言葉は、2,240ポンド(1,016キログラム)のトンを表す。

B. 「カテゴリー(艦種の定義)」

1. 主力艦

主力艦は、次の2つのサブカテゴリーのいずれかに属する水上艦である。

a. 航空母艦、補助艦艇またはサブカテゴリー(b)にあたる主力艦を除く水上戦闘艦で、基準排水量が10,000トン(10,160メートルトン)を超えるもの、または口径が8インチ(203ミリメートル)を超える砲を搭載するもの
b. 基準排水量が8,000トン(8,128メートルトン)を超えず、口径が8インチ(203mm)を超える砲を搭載する航空母艦以外の水上戦闘艦をいう。

2. 航空母艦

航空母艦とは、排水量を問わず、航空機が発艦でき、または航空機が着艦できる飛行甲板を備え、主として航空機を海上で輸送・運航する目的で設計またはその目的に適合した水上艦をいう。
水上戦闘艦に着艦甲板または発進甲板を装備しても、その水上艦が主として航空機を海上で輸送し運航する目的で設計または適合されていない場合には、航空母艦のカテゴリーに分類してはならない。
航空母艦は次の2つのサブカテゴリーに分類される。
a. 航空機が発艦したり、着艦したりするための飛行甲板を備えた水上艦
b.そのような飛行甲板を備えていない水上艦

3. 軽水上艦艇

軽水上艦艇とは、航空母艦、小型艦艇、補助艦艇以外の水上戦闘艦で、基準排水量が100トン(102メートルトン)を超え、10,000トン(10,160メートルトン)以下のものをいい、口径が8インチ(203ミリ)を超える砲を搭載していないものをいう。
軽水上艦艇のカテゴリーは、次の3つのサブカテゴリーに分類される。
a. 口径が6.1インチ(155mm)を超える砲を搭載する水上艦
b. 口径が6.1インチ(155mm)を超える銃を搭載せず、基準排水量が3,000トン(3,048メートルトン)を超える水上艦
c. 口径が6.1インチ(155mm)を超える砲を搭載せず、基準排水量が3,000トン(3,048メートルトン)を超えない水上艦

4. 潜水艦

潜水艦とは、海面下で活動するように設計されたすべての艦船である。

5. 小型水上艦艇

小型水上艦艇とは、補助艦艇を除く水上艦艇で、基準排水量が100トン(102メートルトン)を超え、2,000トン(2,032メートルトン)以下のもので、以下の条件に該当しないものである。
・口径が6.1インチ(155mm)を超える銃を搭載する
・魚雷を発射するために設計または装備されている
・20ノットを超える速度で設計されている。

6. 補助艦艇

補助艦艇とは、基準排水量が100トン(102メートルトン)を超える水上艦艇で、通常は艦隊任務や兵員輸送など戦闘艦艇以外の方法で使用される、戦闘艦艇として建造されていないもので、 以下の条件に該当しないものである。
・口径が6.1インチ(155mm)を超える銃を搭載すること
・口径6.1インチ(155mm)を超える砲を8門以上搭載し、かつ口径3インチ(76mm)を超える砲を8門以上搭載すること
・魚雷を発射するように設計されているか、または取り付けられていること
・装甲板で保護するように設計されていること
・28ノット以上の速度を出すように設計されていること
・主に海上で航空機を運用するために設計または適合されていること
・2つ以上の航空機発射装置を搭載すること

7.小艦艇

小艦艇とは、基準排水量が100トン(102メートルトン)を超えない水上艦艇である。

C. 「艦齢超過」

以下のカテゴリーおよびサブカテゴリーの船舶は、完成から上記の年数が経過した場合、「艦齢超過」とみなされる。

主力艦
26年

航空母艦
20年

軽水上艦艇のうち、サブカテゴリー(a)及び(b)
・1920年1月1日以前に建造されたもの 16年
・1919年12月31日以降に建造されたもの 20年

軽水上艦艇のうち、サブカテゴリー(c)
16年

潜水艦
13年

D. 「月」

本条約において、期間を表す「月」という言葉は、30日の月を意味する。

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